書評:『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』森博嗣/中公文庫

これまでミステリィとして読んできた森博嗣作品から、一種の冒険活劇・ファンタジー小説に。

スカイ・クロラ (中公文庫)

スカイ・クロラ (中公文庫)

単行本のきれいな空の写真ノベルズ版の鶴田謙二さんの絵も、どれもとてもいいのだけれども、持ち歩きながら読みたいので文庫版で。
森博嗣ミステリィは、ミステリィには分類されながらも、そこには理由や他の人が納得するような明確な結論・動機がなかったりしていたのだけれども、スカイ・クロラシリーズはそれがさらにもう一歩、踏み込まれた感じの小説のようだ。

僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガーも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供−戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。森博嗣、渾身の一作が待望の文庫化!

この作品は、8/2に公開されるアニメーション映画となるが、アニメーションとしては面白いだろう。しかし、小説としてはきっと面白く読める人と、あまりその面白さがわからない人に二分されそうだ。でもきっと、ちょっと丁寧に行間を読むような読み方ができれば、誰もが楽しむことができる作品です。

映画版ではちょっとだけデフォルメされているみたいですね。