モノとサービス

モノとサービスの統合は今後、ますます進んでいくのではないかと考えています。
モノを売るためにサービスを使い、サービスを売るためにモノを使う。分野や業界によってやり方はそれぞれでしょうが、単にモノだけ、単にサービスだけ、というやり方は次第に難しくなっていくのではないかと思います。
モノを売ることは、比較的シンプルです。モノを生産し、お客様の元に納品すれば普通おしまい。いかにいい製品を、より多く作ることによって、より競争力のある価格で売るか。それが勝負です。
対して、サービスを売ることはなかなか簡単にいきません。サービスの提供においては、どんなサービスを、どんなかたちで提供し、どのような状態を創り出したら「そのサービスの提供は完了した」という扱いになるのかについてまず合意し、実行し、そして完了しなければなりません。一定の期間が必要ですし、正しい認識を提供側とお客様側で共有する必要があります。物理的に見えるカタチあるモノに対して対価が支払われるわけではないため、お客様にとってはよりその価値や費用対効果について厳しい目を向けることにもなります。単にサービスだけを提供することはなかなか難しいでしょう。
…というわけで、モノとサービスは統合するわけです。提供する側にとって、モノに付随したサービスは単なるサービスよりも売りやすくなります。モノを使ってサービスを売った方が、「何をするサービス」で、「どんな内容を提供するのか」が明確にしやすいからです。同様に、お客様にとってもサービスがモノに付随して提供された方が、「サービスが提供してくれる範囲」が明確になるため、「どのような結果を得られるのか」がイメージしやすくなります。相互に納得しやすくなる、とでもいえばいいのでしょうか。
これまではモノ→サービス、という順番が主でした。提供したモノに対して、設計や設定などのサービスを提供する、というかたちです。そしてここ最近では、サービス→モノ、という順番にまでその統合範囲を広げようという動きがあります。コンサルティングサービスや、アセスメントサービスというような呼ばれ方をしますが、要は「必要なモノは何で、どのくらい必要で、どのようにするべきなのか」を定義するためのサービスにまでその範囲を広げよう、ということです。
拡大しなくなりつつある市場においては、付加価値や差別化が重要な要素になります。モノだけでも、サービスだけでも、お客様を納得させることが難しい、なかなか厳しい時代になりつつありますね。