書評:『四季 秋』森博嗣/講談社文庫

S&Mシリーズ第11弾。そしてS&MシリーズとVシリーズを結びつけるミッシングリング、といえるのかもしれない(残念ながら、Vシリーズを飛ばして先に四季シリーズを読み出している私としては予測でしかない)。

四季 秋 (講談社文庫)

四季 秋 (講談社文庫)

謎を解き明かさないミステリィ、といえばいいのだろうか。しかし、森博嗣は天才型?の作家なので、明確なかたちではないのだが、確実に、答えを作品の中に忍ばせている。レゴブロックの意味は?萌絵がホテルで出会った真賀田四季は本当に夢だったのか?読者それぞれのかたちで読めばいいのだが、そうした謎の答えをそっとのぞき込むような感じで読むと本作の奥深さが伝わってくる。

妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった……。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季の知られざる一面を描く、感動の第三弾。

夏、ですでに収束点を迎えていたともいえる本シリーズが秋、としてどういう展開を見せるのかというところが読み始めた時点での興味の対象だった。ある意味で、なるほど、と思える部分もあるし、そうなのかなぁ、と思ってしまう部分もある。もしかしたら、Vシリーズを読めば腑に落ちる部分も数多くあるのかもしれない。
そういわれてみれば(誰に?)、私の書評は全然書評になっていない。とくに小説については。登場人物がどう思ったのか、このシーンがいい、などといった感想が一切ない。たとえば本書の内容の一部を引用して、そのシーンについて書く、といったことをしてみてもいいのかもしれないが、全然そんなことをしようとは思えないのだ(小説の場合は。新書や技術本ではしまくりです)。
同じ書評シリーズでも、小説のそれはほとんど読み終えての素直な気持ちメモといった程度。新書や技術本、ノウハウ本などについての書評とは別物として捉えてもらえればと思います。