書評:『真夜中の神話』真保裕一/文春文庫

たまには小説も読まないと、どーも読書機能?に「かたより」が生じてしまうので。

真夜中の神話 (文春文庫)

真夜中の神話 (文春文庫)

真保裕一の作品を読んだのは初めてであったが、スペクタルサスペンス?小説としてはなかなか面白かった。文庫で500ページ程度というそこそこの分量もちょうど良い。通勤本として1週間で読むとすると、この程度がちょうどいいからだ。

薬学の研究に没頭した挙げ句、夫と娘を失った栂原晃子は、新たなテーマを求めてインドネシアに向かうが、飛行機墜落事故に巻き込まれる。だが奇跡的に助かった晃子は、山奥の村で神秘的な歌声を持つ少女と出会い、驚異的に快復した。一方、町では猟奇的な殺人事件が発生していた−。

正直、最後の結末は「あー、やっぱりね」といった感じではあったのだが、科学的な部分と神秘的な部分がバランスよく含まれており、読んでいて「これはどういうことだ?」ということはない。スムーズに読み進められるという意味でも通勤本向きだ。
アクション部分の文書の躍動感はやはり福井晴敏の方が上手だと感じたが、情報の小出しというか、真相に迫っていく流れ作りは真保裕一、といったかんじだろうか。
新書やら技術本やらにだいぶ比重が偏っていた読書バランスのリハビリにはよい本でした。上下刊とかになっていないところもいいですね。
あと、なんと言っても通勤本として小説は「物語に引き込まれる」為に、眠くならずに読めるところがいいなと思いました。
通勤時間が手持ち無沙汰な方はぜひ。やっぱり文庫本は持ち歩きが楽です。