書評:『クチコミのチカラ〜ビジネスに生かすクチコミ・マーケティング』ベクトルグループ/日経BP


クチコミのチカラ

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このBlogのPVはおおよそ月間3000〜5000程度なのだけれども、時々掲載している書評の本のタイトルでGoogle検索を行うとメジャーなオンラインブックストアよりも上位に表示されていることがある。私自身が別に有名人でもないので、そんなに影響力があるわけではないけれども、Blog本文したに掲載させてもらっているAmazonアフィリエイトを通じて書籍を購入して下さっている方がいることもまれにある。そう考えると、このBlogですらその程度の影響力を発揮できるのであれば、数百万はあるというBlogのチカラをあわせるとかなりのマーケティング力を発揮することになることがリアルに理解できる。
本書は、これまでメジャーなマーケティング手法として用いられていたMGM(Marketer Generated Media/テレビや新聞など)からCGM(Consumer Generated Media/BlogやSNSなど)へと変化していく理由や、それに伴うマーケティングの変革についてのナレッジがまとめられている。上から降ってくるマーケティングから、下から広がっていくマーケティングへ。少々脱線するのだが、マーケティングを論理的に考えるとなかなか小難しくなってしまうのだけれども、かといって適当にやることでもない…。マーケティング業界の難しさも伝わってくる一冊だった。
本書では、クチコミをマーケティングとして捉えることによって見えてきた新しい18の法則が紹介されている。ネタバレの感もあるが私自身のメモとしての意味も含めて以下にリストアップしておく。なぜこうした法則が導かれるのか、そしてこれらの法則はどういう意味を持っているのかについては、ぜひ本書を手にとってみて欲しいと思う。

  1. 消費者は記者や編集者であり、CGMのメディア・オーナー
  2. 記者である消費者へ、不完全性を備えた情報価値を提供する
  3. 思わず人に話したくなるエンタメ価値は、クチコミの爆発力が大きい
  4. 記者である消費者が、継続的に議論できる世論形成の価値を提供する
  5. インフルエンサーはカテゴリー別に存在する
  6. インフルエンサーは容易に見つけ出すことができる
  7. インフルエンサーは生み出すことができる
  8. 新しい消費者はお仕着せを嫌う
  9. 新しい消費者は、「素材を自分なりに組み立てて作る」ブランド体験しか受容しない
  10. ブランド体験による「刺激」と、消費者の「反応」には、相関関係がある
  11. 新しい消費者はブランドの広報部員ではない
  12. 新しい消費者を信頼し、マーケティングのパートナーとみなす
  13. 時代や手法が変わってもマーケティングのミッションは変わらない
  14. ブランドのポジショニングは、詰まるところ、コトバに還元される
  15. 消費者のコトバとマーケターのコトバの参照基準を事前に準備する
  16. クチコミの伝播過程を追跡する
  17. ブログパーツ、タグ付き画像・動画が、ブランド体験を他者と共有するツールとなる
  18. ソーシャル・メディアの最適化を実施する

クチコミ = WOM = Word of Mouth。なかなか英語も言葉遊び的で面白いです。