Infoprint Solutions Company

リコーと米IBMは1月25日、リコーがIBMデジタル印刷機事業を買収することで基本合意したと発表した。買収額は総額7億2500万ドル。IBMの同事業売上高は約10億ドルで、リコーは買収で同分野で世界トップレベルに浮上する見通しだ。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0701/25/news125.html
IBMがハードウェア事業をどんどんと切り離していっている。プリンタ事業を強化するhpや、テレビにまで手を広げているDellに対してIBMは急速にミドルウェアとソリューション・サービスにその軸足を移しつつある。昨年、hpがIBMの売り上げを超えたと発表しているが、もはやIBMはhpとは異なる事業分野に主軸をおく企業ともいえるわけで、単純な比較は難しいかもしれない。
サーバや最先端技術分野は保持しているが、サーバについてもIBM自身が開発・製造している部分はごくわずか(他社と差別化するために必要となるCPU(Power)やマザーボードなどのハードウェアや、AIX,Lotus,TivoliなどのOSやミドルウェアなど…)で、ほとんどのパーツや製品そのものは別ベンダーのOEMであったり生産委託であったりする。
IBMの戦略は今のところうまくいっているように見えるが、この先もうまくいく保証はない。ただ、ハードウェア製品のように非常に大きな開発・生産コストがかかり、かつ少しでも気を緩めれば他社製品によって駆逐されてしまう可能性のある分野からは手を引き、自社で抱えるミドルウェアやソリューションに基づく経験やスキルを生かしたサービスの方が陳腐化するリスクは大きく低いわけで、サービスに特化していこうという判断は正しい可能性も高い。
IBM製品は見かけなくなっていくかもしれないが、ユーザはIBMのソリューションを使うことで逆にIBMにいつの間にか依存し、そうした世界をつくりだすことでIBMは生き延びていこうとしているのだろう。50年後、IBMがどういう企業になっているかは興味深いですね。