仮想化にむけて…

簡単に言っていますが、もちろん現実は簡単でもありません。
ただ、どこから始めることができるか、仮想化にむけてどんなプランがありうるかなどを検討しておくことは重要でしょう。

「今は1台のマシンで複数のOSを動かす仮想化がもてはやされているが、これから注目を集めるのは全社システムにまたがる仮想化だ。それは4ステップで実現できる」。グリッド・コンピューティング製品大手の加プラットフォーム・コンピューティングのソニアン・ゾウCEO(最高経営責任者)は、こう語る。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061122/254704/

同氏は“全社システムにまたがる仮想化”を、「企業のデータセンター内にあるプロセサやメモリー、ストレージなど、あらゆるシステム資源を仮想化し、アプリケーションから切り離すこと」と説明する。アプリケーション間でシステム資源を融通し合うことで、システムの柔軟性や可用性を高めることが可能になり、「企業は大きなメリットを得られる」(ゾウCEO)というわけだ。それを実現するカギは、複数台のコンピュータを連携させ、一つの処理を実行させる「グリッド・コンピューティング」技術にあるという。

IT資産のライフサイクル管理をハードウェア的な制約から解き放つという意味で仮想化がはたす役割は大きいとおもう。ただ、ユーザによっては仮想化によって新たに「仮想化レイヤー」という管理対象項目が登場してきてしまうことをあまり望まないユーザもいるだろう。企業規模やIT資産に対する考え方・取り組みでここでの選択は大きく異なってくるだろう。

この仮想化に至る4ステップの第1段階は、「メインフレームのアプリケーションをオープン系システムに移行すること」だとゾウCEOは語る。「この段階でハードウエアの運用コストを低減できる」(同)。第2段階では、データセンターで運用している、特定事業部の複数アプリケーション間でシステム資源を共有。第3段階ではこれを発展させ、複数の事業部同士でシステム資源を共有する。最後の第4段階で遠隔地にあるデータセンター間でシステム資源を共有すれば、全社にまたがる仮想化が実現できるとする。

メインフレームのアプリケーションをオープン系システムに移行する、ことはたしかにコスト的なメリットがあり、これまで多くの会社で実践されてきたことですが、はたして本当にユーザにとってその移行がメリットをもたらすかどうかについては移行を実施する前にしっかりと検討しておくべきでしょう。
たとえメインフレームのコストが大きいと感じていても、自社の業務がそこに依存しており、その停止が大きな損失をもたらす可能性があるのであれば、現時点で安定して動作しているメインフレームのアプリケーションを移行する必要性はあまりないかもしれません。逆に、アプリケーションのカスタマイズ性を向上し、Web化などを実現して業務の変化に合わせて柔軟に変更を加えていくことが重要なのであれば、オープン環境への移行はメリットがあるでしょう。いずれにしても、なんでもかんでもオープン化ではなく、しっかりとした判断にもとづいて実施されるべきだとおもいます。
それ以降については特に。どの企業も過去の資産の上になりたっているシステムを抱えているわけで、現実にはそうおいそれと仮想化を全社的に採用することは難しいだろうとは思いますが。