CUIにGUIを重ねる

WindowsのExplorerはGUIのShellといえます。WindowsインターフェイスとしてExplorerというGUIを用いることによって、パソコンを大衆化することに成功しました。しかし、Windows最大のミスは、Windowsの上に直接Explorerを載せてしまったことにあるのではないかと思います。
これまでのWindowsはOSとShellであるExplorerが密接に絡み合いすぎていたため、ほとんどのアプリケーションがExplorerを前提としていました。つまり、「Explorerを用いてGUI操作をすることを前提としてWindowsアプリケーションは作られてきた」わけです。もちろんサービスとして動作するサーバアプリケーションや、コマンドラインインターフェイスを独自exeを用意して対応したりしているものもありますが、それは一部でしか在りませんし、コマンドラインインターフェイスを実現しているのはアプリケーション側の対応であってOS側の対応があったわけではありません。
UNIX/LinuxではShellをOSと切り離して開発してきたため、様々なShellが用いられてきました。Bashが基本ですが、csh/tcshzshなどのCUI Shell、そしてGNOMEKDEなどのGUI Shellなど、様々なShellを用いることができます。そしてなんといっても、コマンドラインインターフェイスのShellを基本としてきた伝統のため、アプリケーションもCUIを前提として使用できる状況が生まれました。GUIを前提とするLinux Applicationもありますが、限定的です。
Microsoftもこの問題を認識しており、PowerShellを導入しWindows Applicationも「CUIでなんでもできる」環境を整えてきました。Exchange Server 2008などのサーバアプリケーションもPowerShellに完全に対応し、PowerShellで実行できる仕組みをベースにしてその上にGUIインターフェイスをかぶせる形でつくられています。すぐに多くのアプリケーションが対応するということにはならないでしょうが、コマンドラインインターフェイスならではの使い勝手の良さをベースにすることは重要な要素だと思います。
PowerShellは大変優れたShellだと思いますが、もう一歩踏み込んでWindowsで使用できるShellを複数用意できるようにしたり、bashtcshを使えるようにするぐらいのことをやってくれるとよりよかったのではなかったと思うのですが。まぁ難しいでしょうけれどもね。