Hyper-Vのネットワーク (3) - Hyper-Vのネットワークは3階層で考えるべし

なんだかんだで『Hyper-Vのネットワーク』シリーズも第3回、です。しかし、果たして何回シリーズなんでしょうか?これ…。

  1. どこにあるのさ!! 仮想スイッチ
  2. 仮想スイッチには、標準スイッチと論理スイッチがある

さて、System Center Virtual Machine Manager (SCVMM)によって管理されているHyper-Vはちょっとだいぶ?わかりづらい(^_^;)と何度も書いてきましたが、逆に、わかってくると、なかなかよく考えられているんだなとも思える実装です。まぁその「わかってくる」までの敷居の高さ?がちょっと問題ではあるのですが…。

何度か書きましたが、System CenterはMicrosoftがAzure基盤を管理するために開発したソフトウェアのサブセット版であると考えると多少理解やしやすくなります。ネットワークについても同様に考えるべきで、SCVMMは一気に大規模なクラウド仕様にも対応できるだけの機能をそなえています(Azure級はそのままでは管理できないでしょうが…それでも、エッセンスとしてはそのレベルへの対応に必要な機能が残されている、という意味です)。つまりSCVMMはVMwareでいえば、vCenter Serverの役割と(あえて書けば)vCloud Directorの的な役割を併せ持ったような実装になっているがゆえに一気に敷居が上がる「気がする」のです。

さてそのSCVMMでは、ネットワークに関する設定箇所があちこちにあります。大したことない事項のようにも思えそうですし、きっと毎日SCVMMの画面と睨めっこしている人はもはや気にもならない当たり前のことなのかもしれませんが、私としては、このちょっとした点が、Hyper-VマネージャからSCVMMに移行してきた際の敷居の1つではないかと思っています。

具体的には、[VMとサービス]には『VMネットワーク』という項目がありますし、[ファブリック]の配下にも『ネットワーク』という項目があり、その中には、『論理ネットワーク』やら『論理スイッチ』やらと、色々と並んでいます。この時点で、(私を含めて)あまりSCVMMには慣れていない多くの方が???となるはずです。Hyper-Vマネージャでは、単純に仮想スイッチという1つだけであったネットワークに関する設定パラメータが、ここで一気に複雑さを増すからです。

[VMとサービス] - 『VMネットワーク』

[ファブリック] - 『ネットワーク』

このあたりをどう乗り越えていくのか(^_^;)については、やり方は人それぞれで、ひたすら触り倒して理解する人、情報を読み込んで読み込んで納得するまで読み込む人、PowerShellコマンドに落とし込みながら理解する人など、色々です。このエントリーを書きながらも、結局は自分なりのやり方で触らないとわからないよね、とは私自身思っていますし、その通りだとも思います。しかし、触ってみるうえで、イメージを整理するためのきっかけというか、サポートぐらいにはなるかなという思いで、このエントリーは書いています。

さて、そのコツというか私なりのポイントは、本エントリーのタイトルの通りなのですが、SCVMMによって管理されるHyper-V環境のネットワークは3階層で考えると理解しやすい、ということです。

具体的には…

  1. 仮想マシンの仮想ネットワークアダプタが接続する先となる仮想構成に基づいたネットワーク
  2. Hyper-Vホストの配置ラック・接続先ネットワークなどの物理構成に基づいたネットワーク
  3. 用途や目的といった抽象的な論理構成に基づいたネットワーク


…の3階層です。

各パラメータは、どのネットワークを対象としているのか。各階層間を結び付けているパラメータはどれなのか、といった視点でSCVMMによって管理されているネットワークを見てみると、おそらくより明確に、SCVMM管理環境におけるHyper-Vネットワークを理解できるのではないかと思います。

ソフトウェアによって、下から見ていった方が理解しやすいものと、上から見ていった方が理解しやすいものがあると思いますが、SCVMMは断然上からでしょう。なぜなら、設計思想として完全に抽象化されたリソース管理が必須となるAzureのために作られているソフトウェアだからです。前段の3階層についても、統合管理のために必要とも言えますが、根本的にはAzureにおいてこうした実装が必要であったから、といえるのではないかと思っています。

基本的には…

仮想マシンが接続する先となる
仮想構成に基づいたネットワーク
『ファブリック』‐『ネットワーク』設定項目
Hyper-Vホストの配置などの
物理構成に基づいたネットワーク
VMとサービス』‐『VMネットワーク』の設定項目
用途や目的といった
論理構成に基づいたネットワーク
ホストおよびクラスタにおける仮想スイッチの設定項目

…なのですが、当然ながら、各階層をリンクするパラメータがお互いに必要であり、それらがどこでつながりあっているのかなどを把握しないと理解しづらいでしょう。

ところで、Microsoft『Microsoft System Center: Building a Virtualized Network Solution』を無料のeBookとして公開しました。本書では、このあたりのアーキテクチャ構成を下図で示しています。

次回はこの図をどう見ればいいのか、あたりから進めていきたいと思います。
さて、今回は短めでしたが、区切りがいいところですので…また次回^_^;。