「できるPRO VMware vSphere 5」のご紹介 - 5/8発売

ネットワールドシステムエンジニアの方々が書かれた「できるPRO VMware vSphere 5 (できるPROシリーズ)」が明日5/8に発売されます。

できるPRO VMware vSphere 5 (できるPROシリーズ)

できるPRO VMware vSphere 5 (できるPROシリーズ)

  • 作者: 大久保健一,工藤真臣,沢田礼子,三好哲生,できるシリーズ編集部,ヴイエムウェア株式会社
  • 出版社/メーカー: インプレスジャパン
  • 発売日: 2012/05/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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同じシリーズの「できるPRO Vmware vSphere 4 (できるPROシリーズ)」が発売されたのが、2009年10月でしたら、それからすでに2年半が経過、vSphere 5がリリースされてからもすでに半年以上が経過していますので、やっと(^_^;)の発売です。なお、本エントリーはここで紹介することを条件にして本書をタダで頂いてしまいましたので、そのお約束を果たすために書いています(多少、宣伝っぽい書き方になっていますが、ステマではありませんので明記させて頂きます)。もちろん、いい書籍だと思うから書いていますよ!

本書は始めてVMware vSphere 5を触ってみる方向けの内容となっており、評価ライセンスを使って一通りの機能について触ってみる際に活用できる章立てとなっています。本格的な導入を前に、とりあえず評価してみたいとお考えの方や、VMwareの他の製品を使用されていた方がvSphereにも取り組んでみようとされる場合などに活用できるのではないでしょうか。

全体的な章立ては、以下の通りです。

  • 基礎知識編
    • 第1章 VMware vSphereについて知ろう
  • 構築編
  • 拡張編
  • 運用・管理編
    • 第11章 可用性を高めよう
    • 第12章 バックアップをとろう
    • 第13章 VMware vSphereのライセンスを適用しよう

第1章は サーバ仮想化とは、から始まって、VMware vSphereの全体的な機能の紹介、ライセンスモデル、VMware vSphereを用いたシステム構成についての考え方などが紹介されています。さすがライセンスを販売する販社でもあるネットワールドさんによる執筆なので、ライセンスについての説明は丁寧に書かれています(こういう場合はどう考えればいいの?というパターン例もいくつか紹介されています)。vRAMなど、vSphere 5から新しく導入されたライセンスモデルや、vSphere 4から変更されたエディションと機能の紐付けなどがありますので、すでにvSphere 4を理解されている方も改めてざっと目を通しておくとよいかもしれません。

第2章からは具体的にインストール〜基本設定の解説に入っていきます。ESXi 5.0を導入するために必要なハードウェア要件から始まり、VMwareウェブサイトでの評価版ライセンスキーの申請・入手方法、バイナリファイルの入手手順なども丁寧に画面キャプチャ付きで紹介されているところが「できる」シリーズらしいところです(^_^;)。ESXiのインストール自体は非常にシンプルですが、とりあえず触ってみている方には、こうして画面キャプチャ付きで手順を紹介してもらえると、迷うことなく操作を進めることができるかと思います。

第3章では、インストールされたESXiを管理するために使用するvSphere Clientの導入から始まり、vSphere Clientを通じたESXi管理画面について一通り紹介がされた上で、SSHでの接続方法や再起動・シャットダウン方法などについてが説明されています。

第4章では、ゲストOSの導入手順として、WindowsLinuxの代表例としてWindows Server 2008 R2と、CentOS6.2を仮想マシンに導入する流れが説明されています。ここで作成した2つの仮想マシンをそのまま使用するかたちでこの後の章が作られていますので、実際に本書を片手にvSphereの評価をされる方はここでちゃんと両方の仮想マシンを作成しておくことをオススメします。

第5章では、初期インストール時では一定範囲だけのカスタマイズであった仮想マシン構成について、より細かく構成する方法が紹介されています。ディスク容量の変更や新しい仮想ディスクの追加、メモリの増量やネットワークアダプタやUSBの構成、CPUの追加、さらにはスナップショットの利用など、仮想マシンならではの柔軟なリソース構成変更や管理が可能であることが、本章の操作を通じてご理解頂けるのではないかと思います。

第6章では、仮想マシンをネットワークに接続するために理解する必要がある、仮想スイッチやポートグループなどについて説明がされています。

仮想化とはいわばこれまでなかった新しいレイヤーを導入することとなりますので、ハードウェアともOSとも異なる新たな階層を管理するということはどういうことなのか、第2章〜第6章までの構築編を通じて、具体的に体験頂ける流れとなっています。

第7章からは、vSphereを活用する上では欠かせないvCenter Serverによる統合的な管理を行う形式についての解説が始まります。第7章はvCenter ServerのインストールからESXiの登録や管理画面の紹介、そしてvSphere Web Clientの使用方法などについてが説明されています。なお、本章では第4章で仮想マシンへ導入したWindows Server 2008 R2を使用する形で説明がされていますので、仮想マシン的な操作と導入されたvCenter Serverを通じた操作がごちゃ混ぜになってしまわないようきちんと整理して理解を進めて下さい…(^_^;)

第8章では、複数台のESXホストを統合的に使用する上では必須とも言える共有ディスクについての解説がされています。FC / iSCSI / NFS などが仮想マシンを配置するためのデータストアとして使用できるため、ここではイメージを掴んでもらうために正式にサポートされる構成ではありませんが、CentOS(しかもゲストOSの…)をNFSサーバと仕立てて接続してみるおためしパターンが紹介されています。

第9章では、仮想マシンの展開(クローン及びテンプレート、仮想アプライアンスのインポート)方法、その際に使用することができるゲストOSのカスタマイズ方法、vCenter Converter Standaloneを用いたP2VやV2V方法などが解説されています。それぞれに執筆の担当範囲が分担されているからかと思いますが、なぜか全体的な記載レベル感と比較してけっこうvCenter Converterによる移行方法が詳しく書かれています。

第10章では、移行(コールドマイグレーションとホットマイグレーション)方法についてさらっと紹介されています。

第7章〜第10章の拡張編は、サーバの仮想化機能そのものではありませんが、仮想化を活かすためにはかかせない機能が一通り紹介されています。この段階こそが、仮想化のメリットというか、仮想化を行うことの価値とも言える部分ですので、考え方によってはここが最も重要な部分といえるかもしれません。

第11章では、複数台のESXホストから構成される仮想化インフラを個別のサーバ単位ではなく「インフラ」として扱うためのベースとなるクラスタという概念についての説明から始まり、vSphere HAおよびvSphere FTについて解説されています。これらの機能は物理的なサーバからOS環境が切り離されているからこそ実現できる機能であり、仮想化の面白さというか、柔軟性を生み出すポイントともいえる部分です。

第12章では、バックアップについて、ライセンス的にはEssentials Plus以上(フルに活用するためにはHot-addが必要となりますので、Enterprise以上となってしまいますが…)で使用することができるData Recoveryを使ったバックアップとリストア方法について書かれています。Data Recoveryは機能も限定されたバックアップツールですが、VMware標準のツールなだけあって、vSphere Clientを通じて管理ができることや、Windows / Linux それぞれに対応したファイル単位でのリストア機能もあること、重複排除などの先進機能を標準的に使用できることなど、けっこう使い勝手の良いバックアップツールです。

そして最後の13章では、ここまでの評価で本格的にvSphereを導入するのでしたらライセンスを適用してね、ということでライセンスの適用方法が。さすがです…。

全体的に本書の特徴でもある点が、操作手順を追う流れが重視されており、「なぜそうするのか」や「どうしてこうなるのか」などについての説明は最小限にとどめられています。まずは触ってみて、ざっくりと「どんな感じなのか」、「どう操作すれば良いのか」を体験してもらう際の手引きとして使用頂くことを想定した作りのために、流れを重視してあえてそういう記載方法がとられているのかと思っています。ぜひ本書を通じて一通りの操作について体験された方で、より本格的にVMware vSphereの世界に入っていこうとされる方は、「どう操作すれば良いのか」のレベルからさらに一歩踏み込んで、「なぜそうする必要があるのか」を考えながら、そして調べながら改めて手順をおさらいしてみると、よりスキルが身につくかと思いますし、より理解が進むのではないかと思います。

最後に、本書の執筆メンバーでもあり、本書を私に渡してくれた工藤さんの好きなvSphereの機能「vhv.allow = "TRUE"」はぜひググってみることをオススメします(^_^;)。我が家もそうですが、一定の要件とリソースさせあれば1つの物理マシン上に沢山のESXやその他の仮想化Hypervisorが…