メモ書き:Windows Server 2012 - Storage

Networkに続いてStorage(ホワイトペーパーとしては、「記憶域」と「記憶域と可用性」がベース)。Windows Server 2012では大幅にストレージ関連の機能も強化されるが、Linuxにおいて実装が進んでいる機能の後追いといえる部分も多数ある。しかし、Windowsにおいてこれらの機能が実装されることには大きな意味があり、OSとして新しい次元に進んでいることがわかる。サーバ仮想化によってOSの存在は単なるアプリケーションの実行環境になってしまうかと思われたが、こうして進化した次世代OSはまだまだコンピューティングの中心に位置することになるのかもしれない。

  • ノード
    • メモリエラーの分離:特定ユーザモードアプリケーションのメモリエラーを分離することによるデータ整合性の維持
    • NICチーミング:SMB通信などにおける可用性の向上
  • 記憶域
    • 記憶域プールと記憶域スペースから構成される論理ストレージ機能

      • 記憶域プール:HDDやSSDなどの物理記憶域から構成される論理的なストレージ領域
      • 記憶域スペース:記憶域プール内に構成される要件レベル(復元性など)を定義された仮想ディスク
        • 必要に応じてNTFSなどによりフォーマットして使用する
        • SQLやファイルサーバなどに対する直接的な割り当てや、仮想環境への展開も可能
    • オフロードデータ転送(ODX)

      • ストレージ側でのオフロードデータ転送とサーバ側でのトークンコピーを連携させることによる低負荷・高速なデータ移動
      • ストレージ側での対応が必要
  • ファイルシステム
    • ReFS(Resilient File System)
      • 16KBクラスタサイズで2^78バイトのボリュームをサポート、2^64-1バイトのファイルサイズ、2^64個のファイル・フォルダのサポート
      • 可用性と信頼性の向上を目的としたNTFS/Win32APIと高い互換性のあるローカルファイルシステム
        • BitLockerドライブ暗号化、ACL、USNジャーナル、変更通知、ボリュームスナップショット、ファイルIDなど…
      • B+ツリーによるディスクパス表現
      • トランザクションモデルによる更新信頼性の向上
      • メタデータの書き込み時割り当てトランザクションメタデータチェックサムによる破損検出と整合性確保
      • 記憶域スペースと組み合わせて使用することによる可用性
        • 記憶域スペースのミラーリングと組み合わせることが可能(自動的な破損データの修復)
      • データ破損部のみのオフライン化による、ボリューム全体に対する可用性低下の抑止
    • NTFS
      • 特定の書き込み順序に従う必要のある操作について、"Forced Unit Access"から"flush"コマンドのみを使用するよう拡張(メタデータ不整合に対する復元性の向上)
      • 修復性の向上
        • オンライン破損スキャン機能:Chkdsk必要性の減少
        • オンライン修復機能:自己修復機能の強化
        • 修復時間の短縮:数億ファイルで1箇所の破損があるボリュームにおけるChkdsk実行時間が8秒未満
    • データ重複除去

      • ファイルをメタデータとチャンクストアに分離して管理することによる重複排除
      • 可変サイズチャンキングおよび圧縮の使用(一般的ファイルサーバにおいて2:1、VHDライブラリにおいて20:1の最適化)
      • サーバワークロードへの影響を最小限に抑えたプライマリデータに対する重複除去処理の実行(実行タイミング・使用リソース割合・対象ファイルなどの管理も可能)
      • 整合性の維持:チェックサム、ID検証などと、メタデータを含むデータの冗長性確保
      • BranchCache統合:WAN帯域幅の消費削減
    • 仮想プロビジョニングおよびトリム
      • ストレージ側シンプロビジョニングと連携した必要時割り当てと解放(トリム)の実装
  • クラスタリング
    • CSV v2
      • Hyper-V以外のアプリケーションのサポート
      • 記憶域スペース・仮想プロビジョニングとの連携
      • 共有名前空間を通じたクラスタノード全体での構成共有(単一名前空間によるファイル名とパスの一貫性)
      • バックアップ関連機能強化:VSS完全サポート、スナップショット作成、クラスタレベルのポイントインタイムセマンティックス
  • ブロックアクセス

      • 標準の組み込みオプションとしての実装
      • iSCSIネットワークブートのサポート
        • 差分VHDファイルを使用することによる記憶域容量の最小化
        • ゴールデンイメージによる一元管理
      • 透過フェイルオーバー

      • 透過的フェイルオーバーおよびFT:サーバクラスタとクライアントの連携による代替クラスタへの透過的なフェイルオーバー
      • 暗号化:暗号化機能の標準サポート
      • ディレクトリリース(クライアント側でのメタデータの長期的キャッシュ)によるWAN経由トラフィックの最適化
      • リモートSMBファイル共有のVSS:VSS連携バックアップなどによる整合性のあるバックアップおよび復元に対応

        • ファイル共有シャドウコピープロバイダ:リモート共有のための新VSSプロバイダ、UNCパスにおけるVSSをサポート
        • ファイル共有シャドウコピーエージェント:SMBファイル共有をホストするコンピュータ側
  • ネットワーク機能
    • SMBダイレクト
    • SMBマルチチャネル
      • SMBセッションパスの自動フェイルオーバー
      • SMBセッションの複数同時接続による帯域の活用
      • SMBセッションの動的な負荷分散
      • パス追加時の自動認識と拡張
      • ※RDMA使用時にNICチーミングは使用できないがSMBマルチチャネルは使用可能
      • ※ワイヤレスインターフェイスではSMBマルチチャネルは使用不可

    • 仮想ハードディスクフォーマット
      • VMDX:最大16TBサポート、データ破損保護の強化、大容量セクタディスクでの動作性向上、容量可変ディスクと差分ディスクのブロックサイズ増加、4KB論理セクタ化、カスタムメタデータの格納、トリム対応


  • 管理
    • 包括的な記憶域管理