Dell Scalable File System (DSFS) ってなんだ?

DellがPowerVault NX3500という製品を発表しました(リンク先はDellの日本語コミュニティブログページ)。

デル初のDSFS(Dell Scalable File System)ベースのNASストレージソリューション「PowerVault NX3500」の販売を開始いたします。
PowerVault NX3500は、デルのiSCSIストレージアレイPowerVault MD32x0i及びMD36x0iと組み合わせることで、ブロックアクセス(iSCSI)とファイルアクセス(NFS及びCIFS)を1つのプラットフォームで実現する、ユニファイドストレージソリューションを提供します。
PowerVault NX3500は、高性能、高可用なファイルシステムであるDSFS(Dell Scalable File System)を搭載し、バックエンドストレージのPowerVault MDシリーズと連携することで、物理容量として192TBまで、単一のファイルシェアをスケールアップできます。
また、PowerVault NX3500は、ユーザーレベルでリストア可能なスナップショット、非同期レプリケーション、NDMP(Network Data Management Protocol)バックアップ対応といったデータ保護に関する機能を備えています。
PowerVault NX3500の活用で、中小企業のお客様が抱えるデータ管理に関する課題に対応します。PowerVault NX3500は、データの増加に合わせた容量拡張、スケーラブルなシェア容量、優れたデータ保護などの特長を持ち、お客様のデータ管理を容易にします。

位置づけとしては主にSMBをターゲットとしたエントリーレベル向けのエンタープライズNAS製品のようです。しかしこの製品そのもの以上に興味深いのが、冒頭に出てくるDSFS (Dell Scalable File System)なるファイルシステムです。Dell独自のファイルシステム?さっそくGoogle先生に聞いてみると、DSFSについて書かれたWhite Paper "Dell Scalable File System" (PDF)を見つけました。

このWhite Paperによると、DSFSは全ノードがActiveとしてI/Oを受け付けることなどによりスケールアウトするパフォーマンス性と、バックエンドストレージから切り出したLUNを組み入れることによりダウンタイムなしで拡張することが可能な仕組みによるスケールアップする容量拡張性を兼ね備えたファイルシステムであり、単一のvirtual IPアドレスを通じたグローバルネームスペースで単一のファイルシステムを提供することが可能とされています。ハードウェア的にはDell PowerEdgeをベースとしたコモデティ化されたx86ハードウェアをベースとしており、ノードを冗長化してクラスタ通信ネットワークで接続することにより可用性を確保しています。また、キャッシュデータ保護のために標準でUPSが製品に含まれています。

DSFSはあくまでも内部的なファイルシステム(というか、機能?)であり、HA機能やキャッシュ管理などを搭載しています。NASとしては標準的なCIFSとNFSをサポートして単一ファイルシステムで両方のプロトコルによる接続に対応、NASとして必要となる認証についても、NIS, AD, LDAPと一通りサポートされています。

…で、このPowerVault NX3500はNASといってもコントローラ部分でしかなく、バックエンドストレージとしてはPowerVault MD 32x0i / 36x0i シリーズのiSCSIストレージを使用する仕組みになっています。よって、今後別のストレージをバックエンドストレージに使うことも十分可能だと考えられます。Dellとしてもそういう想定で製品を作っているようで、USのDell Enterprise Technology Centerにおける4/19のNX3500についてのCHAT記録がかなり興味深い内容となっています。

The NX3500 is the first member of the family that will use DSFS and you are correct, it uses MD3200i or MD3600i as backend.
The next product, the Dell EqualLogic FS7500 is an EqualLogic array that will introduce NAS capability to existing EqualLogic Arrays.
All managed through the same GM interface as the existing EqualLogic arrays, there will be a new tab that will manage all the NAS features.

Think of the FS7500 as an add-on feature set that will give NFS and CIFS capabilities to the iSCSI EqualLogic SAN.

あくまでもNX3500は最初のDSFSを搭載した製品であり、次のDSFS搭載製品としてバックエンドにEqualLogicを使用するFS7500という製品が予定されているようです。EqualLogicのGroup Managerによる統合された管理が可能となるようですので、ブロックストレージとしてのEqualLogic PSシリーズがFSシリーズとしてさらにNAS化されるということになりそうです。

The specs look fine, but I see no reference to de-duplication, data compression , data-tiering.
Future inclusion?

De-duplication, compression and tiering are future roadmap items.

重複排除、データ圧縮、階層化などの機能はまだ含まれていないようで、NASとしてはまだ基本機能の範囲だけが搭載されているようですが、今後、Ocarina Networksの重複排除技術などが取り込まれていけばなかなか魅力的な製品となりそうです。

Just to mention a few things about DSFS (Exanet) technology. DSFS will scale to the capabilities of the backend storage, has auto-correcting features that continuously monitor the file system integrity (no lengthy check-disk-type delays after a crash), etc.

DSFSは突然登場したファイルシステムというわけではなく、元々はDELLが2010年に買収したExanetのExaStore技術がベースとなっているようです。

NX3500 is two nodes. In FS7500 it will be up to four. No matter how many, the FS is a single name space. There is one VIP for the all system. The VIP will load balance to the node(s) behind the scenes. The customer can create as many VIP as needed to present the system/FS in other subnets, etc.

元々がクラスタソフトウェアであっただけあって、DSFSノード数は2個に制限されるものではなく、EqualLogic FS7500では4ノード構成も検討されている模様です。

このChat情報では、ここで紹介した以上の様々な情報が含まれておりますので、興味がある方はぜひ目を通してみて下さい。